多田 道のりは長いですよ。90パーセントというと、ほとんどできたと思うでしょうが、物理学の世界では、99.
パソコン,スマホ,ロボット,ゲーム機などなど,身の回りを見てみると,様々なものに半導体が使用されていることがわかります. 私達の生活に無くてはならない半導体,その基礎の基礎についてまとめてみようと思います. 今回は,難しい数式などは使わずにざっくりとイメージをつけてもらうところをゴールの目標としてみました! 半導体とはなにか 半導体とは,誤解を恐れずいうと,『金属と絶縁体の中間の電気抵抗をもつ物質』といえるでしょう. そして,シリコンやゲルマニウムなどの4族元素が半導体によく使われます. シリコンは,人体への毒性がなく安全,自然界に大量に存在するためコストが安い,そして機械的強度が高いなどという理由からよく使われています. ダイヤモンドが炭素原子から出来ており,そのダイヤモンドもシリコンも4族です.シリコンも『ダイヤモンド構造』と呼ばれる結晶構造を持っており,強度が強いんです. あの有名な『シリコンバレー』も半導体によく使われる物質『シリコン』に由来すると言われているなど,半導体が私達の生活に与えた影響は大きいんです. 半導体の原理 それでは,ざっくりと半導体について理解するために,原子について見ていきましょう. とはいっても,高校生で習う簡単な化学の知識だけでOKです. まず,原子のモデルは以下のようになっています. 『原子核の周りを電子が回っていて,電子の軌道のことを内側からK殻,L殻,M殻…と呼ぶ』 というのを思い出してください. あ,これはあくまで原子のモデルですからね.実際の軌道はもっと複雑です. さて,ここで原子番号2のヘリウムと,原子番号3のリチウムをみてみましょう. ヘリウムは,K殻だけに電子が入っていたのに対し,リチウムではL殻にも電子が進出しています. 言い換えると,それぞれの殻に入れる電子の数が決まっていて,その規定数を超えると別の殻で電子が回り始める ということが分かります. そして,内側の殻から順番に電子が埋まっていくということは,『内側の方がエネルギーが低い』ということを意味します. 坂道でボールを離すと下に転がっていく例えを使うと分かりやすいかもしれません. 内側の殻の方がエネルギーが低いということは,エネルギーのグラフを作ってみると以下のようになります. さて,『電気が流れる』っていうのは,言い換えると『電子が移動している』ということになります.